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合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の詳細と比較
(1) 合同会社(LLC)とは?
- 特徴
- 出資者が全員有限責任である
- 会社運営の定款自治が株式会社に比べ大幅に拡大されている
- 法人が業務執行社員になれる
- 社員自らが会社の業務を行う
- 法人格がある
- 株式会社との違い
- 定款に別段の定めがない限り、原則として総社員の同意が必要
- 定款自治が徹底している
- 決算公告義務がない
- 人的会社(合名会社、合資会社と同じ)のため社員の退社等に制限あり
- 合名会社、合資会社との違い
- 全員が有限責任である
- 労務出資は認められない
- 出資の払戻し制限あり
- 合同会社(LLC)の活用方法
- 先端技術の共同研究開発のジョイント・ベンチャー等
- 旧有限会社に近いため資産流動化スキーム(会社更生法の適用がないため)
- 株式会社に比べて設立費用が安い
- 定款記載事項
- 目 的
- 商 号
- 本店の所在地
- 社員の氏名または名称及び住所
- 社員の全部を有限責任社員とする旨
- 社員の出資の目的
- 相対的記載事項(定款に記載しなければその効力が発生しない事項) (社員の一部を業務執行社員として定める場合等)
- 任意的記載事項(会社内の決まりごと)
- 登記事項(登記簿謄本に記載される事項)
- 目 的
- 商 号
- 本店の所在地
- LLCの存続期間、解散事由について定款に定めがある場合はその定め
- 資本金の額
- LLCの業務を執行する社員の氏名又は名称(定款で定めた場合のみ) (業務を執行しない社員については登記不要)
- LLCを代表する社員の氏名又は名称及び住所(定款により定めた場合のみ)
- LLCを代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
- 公告の方法
(2) 有限責任事業組合(LLP)とは?
- 特 徴
- 組合員(出資者)全員の有限責任
- 組合運営における自治の原則
- 構成員課税の適用
- 法人格がない
- 組合員2人以上必要
- 組合員全員がなんらかの業務に携わらなければならない
- 民法上の組合との違い
- 有限責任である
- 組合員は法人と個人に限られている(×人格のない社団、組合)
- 労務出資はできない
- 事業目的は営利を目的としたものに限られている
- 登記をする
- 有限責任事業組合(LLP)の活用方法
- 企業同士の連携(共同研究、共同生産、共同販売等)
- 専門人材が行う共同事業(IT、ソフトウエア開発、デザイン、経営コンサルティング等)
- 起業家が集まり共同して行う創業
- LLP契約書の記載事項
- 事 業*
- 名 称
- 事務所の所在地
- 組合員の氏名又は名称及び住所
- LLP契約の効力が発生する年月日
- LLPの存続期間
- 組合員の出資の目的及びその価格
- LLPの事業年度
- 相対的記載事項(定款に記載しなければその効力が発生しない事項)(業務執行の決定に際して総組合員の同意を要しない事項の定め等)
- 任意的記載事項(会社内の決まりごと)
- *事業について
- 営利を目的とするものなら制限ないが弁護士、公認会計士等の「士業」の業務や債権者に不当の損害を与える恐れのある業務(ギャンブル等)は不可。
- 登記事項(登記簿謄本に記載される事項)
- 事 業(目的)
- 名 称
- 事務所の所在地
- 組合員の氏名又は名称及び住所
- LLP契約の効力が発生する年月日
- LLPの存続期間
- 組合員が法人であるときは、当該組合員の職務を行うべき者の氏名及び住所
- 解散事由を定めたときはその事由
(3) 合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)の比較
合同会社(LLC) | 有限責任事業組合(LLP) | |
---|---|---|
根拠法 | 会社法 | LLP契約に関する契約 |
権利義務の帰属関係 | ・法人であり社員の法律効果はLLCに帰属する。 ・不動産の登記や特許の登録等はLLC名義でできる。 |
・LLPは組合であり法人格はない。組合員の法律効果は組合員全員に帰属する。 ・不動産の登記や特許の登録は、LLPの組合員の合有財産であると表示ができるがLLP名義はできない。 |
許認可の取得方法 | ・法人格があるため、許認可はLLCを主体として取得する。 ・法人格があり、補助金、融資の条件等は基本的に株式会社と同じ。 |
・組合員が許認可を取得する。 ・各補助金は基本的にLLPの組合員が個別に手続きを行う。 |
成立要件と社員の業務執行 | ・設立、存続は、社員1人でも可能。 ・意思決定や業務執行を行わない社員の存在が認められる。 |
・組合契約であるため、設立、存続は2名以上が必要。 ・すべての組合員は意思決定に関与し、業務執行を分担しなければならない。 |
組織変更等 | ・法人格があり、株式会社への組織変更が可能。 ・他の会社との合併等が可能。 |
・株式会社への組織変更はできない。 ・会社との合併等はできない。 |
税務上の取り扱い | ・法人税課税(将来的にパス・スルー課税になる可能性はある) ・利益がでなくても毎年7万円(法人住民税の均等割) |
・パス・スルー課税の適用。組合員個人に直接課税される。 ・損失がでた場合、組合員の所得から控除することができる。(出資金が上限) |
- * 他になにか不明な点がありましたらお気軽にご質問ください。